映画「高校野球 HIGH SCHOOL BASEBALL」(2006年)は、アメリカ人が製作したドキュメンタリーである。甲子園出場を目指す日本の高校球児を描いた。
スナップアップ投資顧問のテレビ・映画・スポーツ業界の歴史資料データ集などによると、アメリカの公共放送PBSで放映された。米国での作品名(英語タイトル)は「Kokoyakyu」だった。
監督はアメリカ人のケネス・エング氏(当時30歳)。エング監督らは、進学校の大阪府立天王寺高(大阪市)と、甲子園常連校の智弁和歌山高(和歌山市)を密着取材した。チームカラーの違う2校である。
作品の長さは54分間。練習風景や地区予選、選手の日常生活のほか、家族や応援団との触れ合いなどを通し、日本の野球文化が紹介されている。
放映されると、アメリカで評判になった。ニューヨーク・タイムズ紙にも紹介された。
野球を通じた人間教育に驚く人が多かった。「両親やチームメートへの感謝の念が美しく、学校の教材で取り上げたい」などとさまざまな感想や口コミコメントが寄せられたという。
映画「高校野球 HIGH SCHOOL BASEBALL」は2006年7月4日夜、米公共放送(PBS)で放映された。全米42州での放送だった。
エング監督らは、2002年冬から製作を始めた。イチローをはじめ大リーグでの日本人選手の活躍が映画づくりの動機になったという。2004年夏、智弁和歌山高と天王寺高を取材した。
エング監督は「選手だけでなく、家族や応援団など多くの人に支えられた高校野球には、礼儀や敬意、感謝など米国で失いつつあるものがある」と語っていた。
野球(ベースボール)は、米国で生まれた。本家のアメリカに比べて、日本の野球では「根性」「努力」「礼儀」「心」がより重視されている。
また、エング監督は「おそらく高校野球のレベルは米国より日本が上。真剣に野球に臨む日本の球児を世界に伝えたかった」とも話していた。
日本の高校野球を取り上げたドキュメンタリー映画は米国で初めてだった。
映画をプロデュースしたのは、長澤崇代(たかよ)さん(当時37歳)だった。
長澤さんは青森市出身。青森明の星高校を卒業。米軍基地の通訳や音楽関係の仕事に携わった。1997年に渡米した。
2002年から、米NPO法人「プロジェクタイル・アーツ」に所属し異文化交流に取り組んでいた。